太陽光発電の異常を見つけるには? パワコン別発電量の比較と注意点
発電量の「多い・少ない」だけでは異常に気づけない
太陽光発電所の発電量は、日射量や気温によって毎日大きく変わります。曇りの日に発電量が少ないのは当然で、発電所全体の数字だけを見ていても、それが天候のせいなのか、設備の不具合なのかは判断できません。
その結果、パワコンの停止やストリングの断線といった不具合が、月末の売電明細を見るまで気づかれない、ということが起こります。不具合に気づくのが遅れるほど、その間の発電ロスはそのまま売電収入の損失になります。
基本の考え方 — 同じ発電所のパワコン同士を比べる
同じ発電所の中にあるパワコンは、同じ時間に同じ空の下で発電しています。設置条件が近いパワコン同士を比べれば、天候による共通の影響を受けにくくなり、設備側に原因がありそうな「異常の候補」を絞り込めます。
ただし、パワコンごとに接続されているパネルの枚数(容量)が違う場合は、発電量をそのまま比べることはできません。そこで、各パワコンの発電量を、そのパワコンに接続されたパネル容量(kW)で割った「容量あたりの発電量(kWh/kW)」で比べます。
なお、比べる相手は、パネルの向き・傾斜、影のかかり方、過積載率(パワコン容量に対するパネル容量の比率)が近いパワコンに揃えるのが前提です。過積載率が大きく違うと、晴れた日にパワコンの上限で頭打ちになる度合いが変わるため、容量で割っても差が残ります。また、データの欠けている日は比較から外します。
- 容量あたりの発電量 = パワコンの日別発電量(kWh) ÷ 接続パネル容量(kW)
- 条件の近いパワコンの値を並べ、中央値(真ん中の値)と比べる
- 中央値より明らかに低い状態が数日続くパワコンを「要確認」とする
「要確認」の基準は発電所ごとに調整する
どのくらい低ければ異常とみなすかは、発電所の条件によって変わります。パネルの向きや傾斜がパワコンごとに異なる発電所、朝夕に一部だけ影がかかる発電所では、正常でも一定の差が出るためです。
最初は暫定的な基準で運用を始め、実際に点検した結果を見ながら担当者が基準を調整していくのが現実的です。また、1日だけの低下は一時的な影や計測の揺らぎの可能性もあるため、「数日続けて低い」ことを条件にすると、誤報を減らせます。ただし、発電停止や重大なアラームは、数日間の継続を待たずに担当者が確認します。
異常が見つかったときの原因の切り分け
「要確認」となったパワコンは、発電量の下がり方から原因の候補を絞ることができます。最終的な判断は、日射量や気温、アラームの内容とあわせて担当者が行います。
- 発電量がほぼゼロ — まず通信の途切れやデータの欠けでないかを確認。そのうえで、パワコンの停止・故障の可能性をアラームやエラーコードで確認
- 一定の割合で下がったまま — ストリングの断線、ヒューズ切れ、コネクタの接触不良など。接続ストリングの一部が発電していない可能性
- 季節とともに徐々に下がる — 雑草の伸びや樹木の影。特定のパワコンだけが下がる場合は、その系統の周辺環境を確認
- 全体的にじわじわ下がる — パネルの汚れも候補のひとつ。経年劣化や季節による日射の変化とも区別が必要で、清掃の効果は日射量などの条件をそろえて比べる
- 全パワコンが同時に下がる — 出力制御(出力抑制)や系統側の要因の可能性。この場合はパワコン同士の比較では差が出ない場合があるため、別途確認が必要
データの取得とチェックを仕組み化する
パワコンごとの発電量は、多くの場合、メーカーの監視システム(HUAWEI の FusionSolar など)や、発電所に設置したデータロガーから取得できます。ただし、毎日すべての発電所の画面を開いて数字を見比べるのは、発電所の数が増えるほど現実的ではなくなります。
そこで、データの取得、容量あたりの発電量の計算、基準との比較までを自動で行い、「要確認」の発電所だけを毎朝メールなどで知らせる仕組みにしておくと、毎日確認すべき対象を絞り込めます。当社グループでも、自社で保有・運営する発電所を対象に、FusionSolar のデータをもとに異常のある発電所を毎朝通知する仕組みを、AI のコーディング支援を活用して自社で開発・運用しています。
なお、仕組みが知らせるのはあくまで「確認が必要な候補」です。現地点検や修理の手配が必要かどうかは、アラームの内容や過去の傾向を踏まえて担当者が判断します。
まとめ
発電所全体の発電量だけでは、天候と不具合の区別がつきません。設置条件の近いパワコン同士を「容量あたりの発電量」で比べ、低い状態が続くものを早めに確認することで、不具合の発見を早め、発電ロスを抑えることにつながります。
なお当社では、こうした発電所管理での業務自動化の経験をもとに、業種を問わず中小企業の業務自動化を支援するサービス「Hodoku AI(hodokuai.jp)」も提供しています。
よくある質問
Q. 天候が悪い日の発電量低下と、設備の不具合はどう見分けますか?
A. 設置条件が近いパワコン同士を比べるのが有効です。天候の影響は共通してかかるため、特定のパワコンだけが容量あたりの発電量で明らかに低い状態が続く場合は、設備側の要因が疑われます。
Q. パワコンごとに接続容量が違う場合はどう比べればいいですか?
A. 各パワコンの発電量を、接続されたパネル容量(kW)で割った「容量あたりの発電量(kWh/kW)」で比べます。向き・傾斜・過積載率などの条件が近いパワコンの中央値と比べ、低い状態が数日続くものを要確認とするのが基本的な見方です。
Q. 全部のパワコンの発電量が同時に下がった場合は?
A. 出力制御(出力抑制)や系統側の要因、広範囲の天候の影響などが考えられます。この場合はパワコン同士の比較では差が出ない場合があるため、出力制御の実施状況や監視システムのアラームなどを別途確認してください。