太陽光発電はなぜ蓄電池に向かうのか — FIT価格下落と出力抑制から見る、いま蓄電池が必要な理由
2027年度、地上設置の事業用太陽光はFIT/FIPの対象外になる
経済産業省は2026年3月19日、2026年度以降のFIT/FIP買取価格を公表しました。そのなかで明記されたのが「2027年度以降、事業用太陽光発電(地上設置)はFIT/FIP制度における支援の対象外となる」という方針です。10kW以上50kW未満の区分も、50kW以上(入札対象外)の区分も同様で、対象は屋根設置や住宅用など一部の区分に限られていきます。
2026年度時点の買取価格自体も、地上設置10kW以上50kW未満で9.9円、50kW以上(入札対象外)で9.6円、入札対象(FIP・250kW以上)の上限価格も9.6円と、いずれも1桁円台後半で頭打ちの状態が続いています。制度に守られた「売れば儲かる」時代の終わりが、期限付きで見えてきたということです。
出力抑制も年々広がっている
売電単価の下落と並行して進んでいるのが、九州エリアを中心とした出力抑制(発電しているのに系統に流せず止められること)の拡大です。系統の受け入れ容量に対して太陽光の導入量が先行しているエリアでは、晴天の日中に出力を絞られる頻度が年々増えており、東北・北海道など対象エリアも広がる傾向にあります。
出力抑制は「発電できたはずの電気」がそのまま収益ロスになる仕組みです。FIT価格そのものが下がっているうえに、稼働できる時間まで削られるとなると、太陽光単体の収益計画はますます見通しにくくなります。
なぜ「蓄電池」が解決策になるのか
蓄電池は、この2つの逆風——単価の下落と出力抑制——のどちらにも効きます。出力抑制で流せなかった電気をいったん蓄電池にため、系統が空いた時間帯や単価の高い時間帯に放電すれば、抑制による発電ロスを収益に変えられます。FIP制度のもとでは市場価格に連動して収益が変動するため、市場価格が高い時間帯を狙って放電する「ピークシフト」も、蓄電池があって初めて選べる戦略です。
調達価格等算定委員会でも、大規模な事業用太陽光について「調達価格・基準価格が卸電力市場価格を下回る」「PPA等を活用しながら市場価格に近い形で案件形成が進む」といった議論が出ています。太陽光が「制度で守られた発電事業」から「市場のなかで売り方を工夫する発電事業」に変わりつつある以上、その売り方の選択肢を増やす設備として蓄電池の位置づけは今後さらに重くなっていきます。
既存の発電所でも検討の余地がある
新設案件だけでなく、既存の発電所でも次のようなケースでは蓄電池併設・後付けの検討価値があります。
- 出力抑制の指令が実際に増えている・増えそうなエリアで稼働している
- 2027年度以降にFIT期間が切れる、または非FIT区分への切り替えが視野に入っている
- 系統連系の空き容量の関係で増設・リプレースの計画が止まっている
- 既に太陽光資材を当社で調達しており、構成・仕様の相談先を一本化したい
まとめ
2027年度の地上設置太陽光のFIT/FIP対象外化、頭打ちの買取価格、拡大する出力抑制——3つの動きはすべて同じ方向を指しています。「発電すれば売れる」という前提が崩れつつあるなかで、いつ・どう売るかを自分で選べる蓄電池は、選択肢の一つから前提条件になりつつあります。